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2005年9月1日木曜日

医者とお祓い師

ネパールのお医者さんは、ウデもアタマもいいのだと思うけれど、どうも信頼できない点がある。

それは、検査をあまりせずに、適当に診断結果を出すことだ。そして、その適当な診断結果に基づいて、薬を処方する。

どの医者も、そうであるわけではないと思うのだけれど、私が当たる医者は、たいていそうだ。

[事例1]
3年前、右手に湿疹ができ、痒くてかいているうちにただれてしまったことがあった。自然治癒を願って、1ヶ月ほどガマンしていたのだが、結局よくならずに、ついに、皮膚科を訪れることになった。

患部を診た後の医者の診断。「ネパールの水が、君にはあっていないのだろう」。

それはそうかもしれない。でも、次に医者がいった言葉には、密かに笑い、あきれた。

「毎日、午前中の太陽に、患部をかざしなさい。太陽の光には殺菌効果があるのだ」

確かに、殺菌効果はあるかもしれないが、そんな民間療法みたいなことを、西洋医学を学んだ医者に、真顔で言われたくない。

その後、すぐに塗り薬を処方してくれた。しかし、診察もしないで、効く薬が、わかるのだろうか。皮膚を少しとり、顕微鏡で視るぐらいしてほしい。真菌が原因の可能性だってありえるのだ。

しかし、検査をするそぶりもなかったため、処方してもらった塗り薬を購入し、おとなしく帰ってきた。

薬に望み託し、使用したが全く効かなかった。症状は悪化するばかり。

数ヵ月後、日本に帰国する機会があり、帰国翌日朝一で、以前よく訪れていた皮膚科を訪れた。その際、ネパールで処方された塗り薬を見せると、日本の皮膚科医はこう言った。

「あなたの症状には、この薬は効きませんねえ。ところで、途上国では、まだこんな薬を使っているんですねえ。日本では、1960年代に当時の厚生省が却下して、使用禁止になった薬ですよ」

日本で使用が認められていない薬が、ネパールでいまだに使われていることについては、しょうがない。

ネパールで診てくれた医者は、私に、効かない薬をくれていた。これも、しょうがない。ここには、そういう薬しかないのだから。

しかし、あんな適当な診断で、薬を処方するから、こんなことになったんじゃないかと、不信感はぬぐえない。

[事例2]
3年前、チフスがはやっていた、雨季に入りかけのシーズンの出来事。

何となく下痢が続くと思っていたら、突然40度近い高熱(頭が割れるような頭痛あり)が出始めた。以前、パラチフスにかかったときの症状に似ている。解熱剤を飲んだが、効き目がない。これは、今流行のチフスかもしれない。つらさに耐え切れずに、病院へ行った。

診察室に呼ばれた。熱を測ってみましょうと言い、体温計を探す医者。体温計は、整理整頓されていない引き出しの中にあった。紙くずやら、聴診器やら、その他のガラクタやらと一緒くたになっていて、やっと見つかった。

次に、のどを見てみましょうといい、ベロを抑える器具を探す医者。これも、先述の引き出しの中にあり、ガラクタの中から、やっと見つけ出した。

まさか、このまま口に入れるのでは?と恐れていると、そのまさかの通り、医者は、何事もないように、私の舌にあてがった。

抵抗力が弱っている患者の口に不衛生な器具を突っ込むとは。

その後、医者は、たいした検査もせず、「熱も103度(約39.5度)近くあるし、のどもはれているから、今流行のチフスでしょう。チフスの薬を処方しとくから。それ飲んでもよくならなかったら、血液検査でもしましょう」と、言ったのであった。

確かに、チフスははやっているし、私の症状もチフスに似ている。でも、何を根拠にチフスと診断したのか。一度、強いチフスの薬を飲んだら、検査をしてもそうそう菌は出やしない。そうやって、多くの人たちが、チフスかどうかもわからないまま、勝手にチフスと診断され、チフスの薬を飲まされて、検査結果も偽陰性となり、長期間苦しんでいる事実を知っている。

病原菌が活発なうちの『今』の検体を、すぐ採取しないかぎり、何が原因の高熱なのかなど、うやむやになってしまう。

今となっては昔とった杵柄なのだが、大学病院で患者の検体を検査する専門職についていた私だ。器具さえ与えてくれれば、自分で自ら自分の検体を検査したいぐらいだが、そういうわけにも行かない。しかなたく、こちらの医者の言うことに従ってしまった。神にもすがる思いで、処方されたチフスの薬も飲んでしまった。

その3日後、薬が効いたのか、治る時期が来たのか、熱は下がった。

しかし、強い薬を飲んだせいで、肝臓がひどく痛み、だるく、今度はそのせいで起き上がれなくなってしまったのであった。

今でも、この時はチフスにかかっていたのかどうか、気になる。でも、いまさら確かめようもない。

[事例3]
今週の出来事。月曜日の早朝、ひどい発疹と微熱が出始めた。安静にしていればよくなるかと思ったが、夜になると症状は悪化した。発疹は一つ一つが大きくなり、つながり始め、熱は40度近くまで上がった。後頭部のリンパ節も痛く、頭が割れそうだ。

今回の発疹は、痒みは全くない。腹痛もないし、下痢もしていない。発疹が出始める約10時間前に口に入れた、久々の寿司(のネタである生魚)を、体が受け付けなくなっていたのか。(日本人の間での小さなパーティーがあり、握りずしやBBQを会場でたくさん食べていたのだ)

気休めにしかならないとわかっていたが、翌日医者にかかることに。

診察室に呼ばれ、医者と向き合うと、開口一番こう聞かれた。「前の日に何か食べたでしょ?」

熱もあって思考能力が弱っていた私は、医者に診断材料となる答えを素直に与えてしまう。「生焼けの可能性がある豚肉と、生魚」

すると、医者は鬼の首でも取ったように、「生魚なんて食べたの?そりゃもう、それが原因だよ。ダメダメ、そんなもの食べちゃ。検査するまでもないよ。薬だしとくから」という。

「でも、日本じゃ生魚を普通に食べてたし、食べたのはネパールの川魚じゃないわよ。それに、今までこんなアレルギー出たことなかったけど」と答えると、「過去は過去。日本のでも、ネパールのでも、生魚はダメ」と、決め付けている。聴診器もあてなければ、脈も診ない。 『生魚を食べた』ことだけで、検査もせずに診断結果を出す医者。

確かに、私も、久々に食べた生魚にアレルギー反応が出てしまったのではないかと思っていた。でも、根拠はない。だから、断定できない。それに、細菌や寄生虫感染の可能性だってある。

一応検査してもらえませんか? ときいても、「とりあえず薬あげるから、それが効かなかったら検査ね」と、取り合ってくれない。

薬を飲んでしまったら、偽陰性になってしまって検査結果など意味がなくなることを、こちらの医者は知らないのか?

結局薬は飲まなかった。昨晩、峠は越した感じだ。今朝は、だるさは残るが、熱は微熱程度に下がっていた。が、発疹は相変わらず全身にあるし、顔なんて、この世のものとは思えないほどボコボコだ。毒を盛られたウクライナのユーチェンコ大統領のようだ。しばらくはまだ、外出できそうにない。

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それにしても、こちらの医者は、どうして、検査もせずに、診断結果を自信を持って出すのだろう。そして、とりあえず薬を飲ませて、効かなかったら検査しようというのだろう。基本的常識に欠けている(と思う)。

今度体調を崩して、病院にかかりたくなったら、お祓い師のところへ行こうか。そのほうが、根拠なしでも信じられる分、ギモンが残らずいいかもしれない。

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