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2005年12月16日金曜日

ストの1日

久々に、カトマンズ盆地内でストが行われた。

15日深夜に、ナガルコットにて一般人12名が軍関係者に射殺されるという事件が起こった影響だ。政党と学生が抗議のストを実施することになったのだ。

ナガルコットとは、カトマンズから約32km、標高約2200mの(一応)避暑地。天気に恵まれるとヒマラヤ山脈が一望でき、エベレストも豆のように小さくではあるが見えるようなので(私にはどれがどれかさっぱり区別はつかないが)、外国人ツーリストにも(一応)人気のある場所。でも、事件が起こったのは、外国人が利用する宿泊施設が立ち並ぶ場所ではなかったようだ。

カトマンズ市内では、久々のスト。以前は、どうでもいい内容の(?)ストが頻繁に起きていて、ウンザリすることも多かったが、2月1日、国王が政権を握って以降、カトマンズではストは実施されていなかった。

ストの種類は、主宰者がマオイストである場合や、政党または学生団体である場合などいろいろあるが、とにかく一般人は、ストの日にはおとなしくしているのが一番。

ストの日に、エンジンつきの乗り物に乗っていると、投石にあったり、ひどい時には車輌をめちゃくちゃに壊されたりすることもあるのだ。

だから、ストの日には、街を走る車輌の数が極端に減り、歩行者と、人力車の数が増える。

投石覚悟で走っているタクシーなどもあるが、この日は通常の数倍以上の運賃を取る。彼らにとっての『ビジネスチャンス!』というわけだ。

ストの日に、カトマンズに到着したり、カトマンズを出発しなくてはならないツーリストは大変だ。空港から(空港まで)の足がなくなってしまうからだ。空港~カトマンズ市内間の約8kmの道のりを、人力車で移動するか、『TOURIST』と大きく書いた紙を張った車に乗って移動するしかない。 (武装アーミーが警護に当たりながら、高級ホテル街とタメルエリア~空港を結ぶ巡回バスが急きょ出る場合もあるが、使い勝手のほどは不明)

主宰団体が誰であれ、外国人は(一応)狙わないから、『TOURIST』とでかでか書くことで、外国人が乗っている車であることをアピールするのだ。(でも、それでも投石されることもあるが)

さて、そんな今日、午前中どうしてもタメル(旅行者が多く集まるエリア)まで行かなくてはならなかった私は、スクーターに乗って家を出た。ナンバープレートを隠し、代わりに『FOREIGNER』と書いた紙を貼ろうかどうか迷ったのだが、まあ、街の様子を見てから(ストがどの程度タイトなものか把握してから)考えようと思い、そのまま出かけた。

でも、ネパール人に間違えられないように(間違えられると投石される可能性があるから)、いつもしているマスクとサングラスをはずすことは忘れなかった。(でも、明らかな白人ならともかく、日本人は、ネパール人に間違えられることも多いから、実はあまり意味はない)

タメルまでは、大通りはなるべく避け、裏道を選びながら進む。いつもそうなのだが、ストの日も、住宅街はいたってのどか。通行する車輌が少ないので、それをいいことに、子供たちは車を気にすることなく、道一杯に広がって遊んでいたりする。

そんな裏道を通りながら、いよいよタメルエリアへ到着。ここまで来ればもう安心、と思ったのだが、目的地まであと200m、というところで、コトは起こった。

反対側から、道一杯に広がって、騒ぎながら小走りに向かってくる若者たち。手にはレンガや石、棒などを持って、振り回している。

やば。

タメルの北にはキャンパスがあって、ストやデモなどが起きると、よく、警官と学生でレンガ合戦&催涙ガス放出などを繰り広げたりしているのだが、今日も、その場所からデモがスタートしたようだ。

スクーターのスピードを落とし、端によって、若者たちが行き過ぎるのを待とう思っていたら、みるみるうちに、その若者たちに取り囲まれてしまった。

みんなの目は殺気立っていて、私を座席から引きずりおろすのを狙っている感じ。怖い。

移動できずに、小さくなってすくんでいると、リーダーの若者が、私に向かってネパール語でこういう。

『ちょっとオネーサンよ、今日がバンダ(ストのこと)だって、知らないなんていわせねーよ。なに、バイク乗ってんだよ。ほら、とっとと降りな』(かなり意訳。でも、こんな感じで言葉も荒くコワカッタ)

ざっとみて、30人ぐらいの若者がいる。みんな、今にでもレンガを私に向かって投げてきそうな雰囲気で、かなり殺気立っている。

ヤバイ。だから、こうなることを恐れて、サングラスとマスクをはずしてきたのに、思いっきりネパール人扱いされている私。こういうときは、ネパール語は分からないガイジンのフリをするのが一番。

しばらくもごもご口ごもってから、『・・・アイムノットネパリ・・・』と答えてみる。

すると、今にもかかってきそうだったリーダーの態度が、とたんに変わった。にっこ~と笑顔になったのだ。なんだこの急激な変化!?

彼の後ろでは、『なんだ、ガイジンだよガイジン』『道あけてとーしてやろーぜ』『チャイニーズかな?』『いや、ジャパニじゃないの?』『でも、ネパリみたいだよな』というような、殺気だった彼らに似合わない会話が、ちらほら聞こえる。

そしてその後、拍子抜けするほど親切な態度で『オーケーオーケー』などといいながら、道をあけてくれた。そして、敬礼でもしそうな勢いで、私を通してくれた。

どうでもいいけど、すごい変わりようだな。

===

日本人だから狙われてしまう国もあるけれど、この国は、日本人だから親切にしてもらえることも多くて、その点は過ごしやすい。

でも、私の後ろにネパール人が乗っていたり、私がネパール人だったら、バイクはめちゃくちゃに壊されていたかもしれない。

同じ国民同士、争う国も多いけれど、ネパール人がネパール人同士攻撃しあう理由って、筋が通っているのかどうなのか、なんだかよくわからない。

そういえば、通り過ぎる私に『サヨナラ』『コニチワ』などという者もいて、さっきまでの殺気はどこへ?と思ってしまった。結局彼ら、昨日のナガルコットの事件を引き金にして、ストレス発散のためのデモをしてるだけにしか見えない。

そんな感じの、ストの1日だった。

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